
新潟県産牛乳
“社長”として組織を率いる諸橋且委さんですが、ひとたび自分の牧場に立てば、ひとりの酪農家に戻ります。丘の上に立つ素朴な牛舎、牛たちの長閑な声が聞こえます。「今朝もほら、元気な子牛が生まれました。這いつくばってなんとか立ち上がろうとする姿を見ると、私もまだまだ辞められないな、と思えるんです」と諸橋さん。
1970年代はこの一帯でも50軒はいた酪農家も、今では諸橋さんの牧場を含め4軒。しかし「新潟といえば良寛」と言われてきた老舗の牛乳メーカーの看板は下ろすわけにはいかない。そこは「牛飼いの意地」と言います。
「私たちはこの180頭ほどの牛たちと人生を共にしている。もはや家族みたいなもんです」
風味を損なわないため低温で殺菌するには、生乳の鮮度が重要です。だからこそ小規模だと、酪農から加工まで一貫して管理できるのが強み。
「うちの牛乳はさらっとしつつも濃厚さも感じるでしょ? “しっかりしてる”んです。牛たちも、私たち牛飼いも地に足付けて、しっかりと老舗の味わいを守り続けますよ」